『風鈴』を読んでみた

 

 ●あらすじ

高校もない集落に暮らすあおいちゃんとわたるのある夏休みのお話。

東京からも程近いその集落には映画の撮影舞台が時おりやってくる。

映画の撮影の同伴でやってきたあおいちゃんより2つ年上の雅。

3人は一夏を共に送る。

ロッククライミング、木の工作、雅との別れ、謎の男との出会い。

出会いと別れで運命もまでが代わろうとしていた。

"一夏"という特有の空気感とまた社会問題とも向き合う一冊です。

 

●感想

はっきり言って、この物語の感想を書くのに2日間くらいは寝かせました。

いつもはわりとすぐ書くのですが。

前半部分のあおいちゃんとわたると雅が仲良く遊ぶところなんかは

小学生の頃の夏休みなんかを思い出したりしてのんびりとした風景が見えるような、そんな気分になります。

でも雅が不可解な行動をとるたびに振り回されまいとするあおいちゃんの気持ちこそ、自身の苦い思い出をも思い出して、リアリティーが増します。

 

ここでは都会と田舎が対比して描かれているのですが、

雅を象徴としたキラキラとした都会と、謎の男を象徴とした闇の都会とを表現しているように感じました。

地方出身の私は幼い頃の自分をあおいちゃんに重ねてしまうわけですが、

いったいどちらがほんとうの都会と伝えるのか。

できるなら雅が描く東京ならいいな、と思いました。

風鈴

風鈴